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生命保険業界は、営業職員という単一チャネル中心主義から多様なチャネル(チャネル・ミックス)への転換を本気で検討する時期が来ていることを認識した上で、新たなチャネル戦略を樹立しなければならない。
上述のような状況にあるとはいえ、営業職員は生損保のクロス・マーケティグによって、いわば生活保障のワンストップ・ショッピングが可能になり、1つの窓口で家計の各種生活保障リスクをカバーする保険を扱えるようになったことから、家計の総合リスク・マネジメントを担う者(保険と貯蓄との組み合わせによる経済的準備という観点ではファイナンシャル・アドバイザー)として、ますます重要な役割を期待されるようになっている。
金融制度改革で証券(投信など)や銀行商品の取扱が認められれば、さらにその役割は強化される。
生命保険各社は、ファイナンシャル・プランナーやファイナンシャル・アドバイザーといった専門資格を持ち、顧客のあらゆる生活保障のコンサルタントをつとめるオウン・エージェント(いわば当該顧客の専属職員。
リピート契約が可能になり見込み客の紹介も受けることができる)の育成に取り組んでいる(社内衛星放送などを活用した教育をスタートさせた会社もある)。
生命保険会社にとって、顧客満足の観点からも会社のコスト面からもターン・オーバー率を改善し、能率の高い営業職員を育成することが急務になっている。
そのためにも、今後は、営業職員は脱落するものだという前提で、大量に導入しそのいくらかが育てばいいといった感がなくもなかった生命保険業界の意識そのものを変えなければならなくなるのではなかろうか。
なお、中堅会社のなかには、外資系損害保険会社との商品提携により、生損保を扱う代理店を有力チャネルとして、特定の市場に特定の商品を提供する専門特化型経営によって質・量ともに成功を収めているところがある。
大手会社にとっても、アメリカで一般的な総代理屈のネットワーク・チャネルなど新たなチャネルの構築が営業職員チャネルの変貌(優績者と一般職員の二極分化)への対応策の1つとして検討すべき重要な課題といえよう。
わが国より一足先に市場の成熟化を迎えたアメリカにおいても、ここ10年来、生命保険エージェントの採用数や存続数は減少し、特にここ数年は、顧客をないがしろにした不正販売の影響もあって激減している。
前述のように、顧客ネットワークをしっかりつかみオウン・エージェントたりうる者しか生き残れないというのがアメリカにおいても立証された厳然たる事実である。
ここまでは主としてリテール(個人向け市場) 専門を念頭において考えてきた。
チャネルはどうであろうか。
生命保険業界では、従業員数が一定(たとえば1,000名)以上の大企業向けのRM(保険・年金・融資・株式・不動産など各種の総合取引を推進する本部総合職による総合法人営業チャネル)に加えて、高学歴新卒女性による、固定給部分を大きくした大企業・中堅企業向け職域企業など団体向けチャネルが、79年頃から展開されて拡大されてきた。
最近では、経済・消費のサービス化や情報通信分野を中心とするベンチャー企業の台頭を見据え、事業承継税制、自社株評価など税務、法務の知識武装をして、中小法人向けに生損保の個人・団体向け商品を販売する新たな女性チャネル創設の動きも見られる。
ただ、ここでもターン・オーバーが課題である。
若年労働力の減少、女性労働力の活用や専門性を持つ者の通年(中途)採用が強調される今日、これらのチャネルも顧客にとって真にふさわしい付加価値を与えることのできるよう、適切な採用と育成に向けた生命保険業界の一段の努力が求められよう。
生命保険についてはアメリカでも、テレマーケティングのようなダイレクト・マーケティングはまだ新契約の2%ほどのシェアを占めるにすぎず、パソコン通信やインターネットを活用した販売もセキュリティや法制面の不備および危険選択の必要性などからそれほど進んでいない。
しかし、投信業界で旋風を巻き起こしたディスカウント・ブローカーのC社が低ローディング商品で参入を決めたと報じられている。
また、急速に進むネットワーク社会で、ベビーブーマー2世(「Xジェネレーション」とよばれる)に属する高学歴の中・高所得層が、保険・金融商品や家計のポートフォリオ・マネジメントに関する情報をファイナンシャル・プランナーとしての生保エージェントに求めるだけでなく、自らもパソコン通信やインターネット上で双方向性を活用して収集し、プライバシー保護技術や電子マネーの普及に伴い、生命保険のパーチャル・ショッピングに進むとの予想が増している。
わが国でも、外資系会社を中心に新聞やクレジットカードの会員誌などの媒体を活用して医療保険、ガン保険などのダイレクト・マーケティングが行われてきたが、最近、大手会社でもマルチメディア機器を配備した無人店舗を設ける例がある(いわゆるアンテナ・ショップ的な色彩が強いが)。
さらには、(損保の自動車保険が中心ではあるが)高度のコンピュータ利用に支えられたテレマーケティングなどのダイレクト・チャネルも現れてきた。
今後、低ローディングの貯蓄機能を重視した保険や定期保険の販売に利用されていくものと思われる。
また、インターネットの活用に関しても、すでに簡易保険や一部生命保険会社のホームページでは加入申込み相談を始めている。
これは、アメリカのインターネット上の生命保険会社やエージェントのバーチャル・モール街に見られるように、加入希望者が、氏名、住所、郵便番号、性別、生年月日、加入希望商品などを入力し、それを受けて、最寄りの集配郵便局や営業所から担当者が申込者宅を訪問し、従来どおりの手続きをするというものである(アメリカでは、複数の保険会社やブローカーのサイバー・モールである、年金保険や定期保険などの仕組みの分かりやすい商品に限定して複数の会社や商品の比較情報を提供しているが、いくつかの質問に答えるだけで、最も有利な商品の設計書の提示が受けられる)。
わが国においても、今後家庭も対象にしたパソコン・バンキング、インターネット・バンキングやエレクトリック・コマース(電子商取引)の普及が一段と進むと見られている。
顧客側にとっては自分の都合のよい時間に家庭や職場のパソコン端末を通じて双方向で保険・金融の情報収集を行い、またファイナンシャル・プランニング(家計のリスク・マネジメント)に関するコンサルトを受けることができ、保険会社側でもサーバーに顧客情報が蓄積されるこのシステムは、マルチメディア時代の生命保険業におけるメディア・ミックス・チャネルとして注目される。
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